大正の洋館 マンションの入り口に
朝日新聞:2003年5月22日


国の有形文化財
神戸・槌橋家住宅


分譲利益で被災部分補修へ

阪神大震災で被災した神戸市長田区の大正時代の洋館「槌橋家住宅」を隣接地に建設中のマンションの入り口として活用し、その分譲利益で補修・保存する試みが始まった。
洋館は国の有形文化財に登録されており、マンションの一部として再生されるのはまれだ。
槌橋家住宅は23年(大正12年)に建てられた木造2階建て。大きな窓や明るい壁の色が特徴のスペイン風建築だ。95年の阪神大震災で煙突が倒壊したり、壁の一部が崩れるなどしたため、補修してきた。しかし、保存するには大規模な補修が必要だった。
所有者の槌橋雅博さんは洋館を保存するため、マンション建設と組み合わせることにし、マンション事業の日本エスコンに洋館と周辺の土地を売却。同社は洋館を隣に建てる6階建て39戸のマンション(総事業費11億円)の入り口・集会室として活用することにした。
分譲利益のうち数千万円かけ、洋館を補修する。マンションの分譲価格は2400万円〜3600万円で、近く販売を始める。