「町並み」で家に付加価値
(デザイナーズ住宅 タウンハウス型)相次ぎ登場、人気
設計にもアレンジ 景観の一体感 魅力

2003年12月5日(金)  京都新聞朝刊

京滋で景観やデザインの一体感を売り物にする建て売り住宅が相次いで登場している。
住宅が一つの町を形成する「タウンハウス」型住宅や外観のコンセプトを統一したデザイナーズ住宅など、住戸一戸だけでなく、町並みとしての総体的な魅力を掲げているのが特徴。背景には、地価が手ごろになり、住宅に新たな付加価値を求める消費者が増えたことなどがありそうだ。

京都市営地下鉄「北大路」駅(北区)近くの住宅街にこのほど完成したのが、ゼロ・コーポレーション(同)が手掛ける「北大路まちなか住宅コラボレーション」だ。敷地面積約九百平方メートルの区域にグレーや黒の外壁、木枠、和風を基調にし、坪庭やSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)を設け、設計は各戸ごとにアレンジした住宅八戸が並ぶ。三戸はすでに成約済み。十一月十五日、十六日の両日に開いたオープンハウスにも約三十組が訪れ、同社は「一戸五千―七千万円の高価格にしては感心が高い」と手応えを話す。 吉村篤一氏、若林広幸氏ら八人の建築家を設計に起用。昨年七月から、滋賀県立大の松岡拓公雄助教授ら三人の調整役も交えて基本計画を議論した。素材や色、屋根の形、両隣との連続性など最低限のルールを定め、建築家が一軒づつ設計を担当した。
 同社は「デザイナーズ住宅は、それ一軒だけ見れば良くても、町並みと調和していないことが多い。建築家や住宅業者、行政などに対して、新しい手法を提案したかった」と話す。 中心市街地にある住宅地の価格は、いまやバブル期の十分の一以下にまで下落した。少子化による人口減少も間近に控え、住宅を「どんどん建てて、どんどん売る」時代でなくなったのは確かだ。そんななかで、町並みの統一感やコミュニティーの作りやすさといった要素が、住宅の新たな付加価値として浮上しつつある。