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週刊住宅情報

1998年 12-30/1999年 1-6  No.-

スケルトン定借について教えて

定借とコーポラティブを組合わせた新しい定借マンションのスタイル

最近、新聞や本誌でも紹介され、注目されているのが、スケルトン定借によるマンション。これは従来の定借住宅と、コーポラティブ方式を組合わせた住まいのこと。1996年、茨城県つくば市にある建設省建築研究所で開発され、同市で初めて事業化されたことから、通称「つくば方式」と呼ばれている。しくみは、まず居住希望者が地主から30年の定期借地権で土地を借り、構造上100年近い耐久性を持つマンション(躯体=スケルトン部分)を購入。内装部分(インフィル)は、各自が希望通りに造り30年間住む。31年目に地主がマンションの躯体部分を建物所有者から買い取る。その際建物所有者は、建物代金を受け取らずそれを後々の賃貸料に充て、地代並みの安い家賃でさらに30年間住むこともできる。61年目以降は、一般的な賃貸マンションと同じ条件となる。

 

購入者・地主双方にメリット大!関西でもいよいよ供給がスタート

購入者にとっての「つくば方式」のメリットは大きく分けて3つ。ひとつめは、従来の定借と同じく土地を買わない分、価格が安くすむこと。ふたつめは、コーポラティブ方式なので、間取りや内装を自分の希望どおりにできるということ。そして3つめは100年近い耐久性を持つ住宅に、30年+30年+α、安心して住み続けられるということだ。一方地主にとっても、元手なしで土地の有効利用及びマンション経営ができることになる。
先般、住宅金融公庫大阪支店主宰の「おおさかまちづくり研究会」の支援を受け、関西で第1号となる住宅の募集が尼崎市南塚口で始まった。これに引き続き、現在数物件の募集が予定されている(下記参照)。

コーポラティブ方式 : 自ら住むための住宅を建設しようとする人が組合を結成し、共同して事業計画を定め、住宅を建設・管理していく方式。「住民主導型」と「コーディネーター主導型」があるが、最近では、およその事業と躯体を決めてから参加者を募る、後者の事例が多い。

 

CHECK & CHECK

定借30年+賃貸30年+Aの期間設定が購入者にメリット大
コーディネーターをうまく利用し、理想の住まいを手に入れて

南塚口コーポラティブでコーディネートを手がける
潟Lューブ 代表取締役 天宅 毅 氏

――説明会を開催されたそうですが、参加者の層は?
参加者は、ごく普通の方々。ですから「コーポラティブとは?」から始まり、このシステムの考え方などをじっくり説明しました。

――説明を受けての反応は?
思い通りの住まいをつくれるという点がまず、気に入られますね。実際「2世帯住宅がつくりたい」「上下階をつなげたメゾネットにしたい」などの要望が出ました。もちろん、すべて実現可能です。

――不安や疑問の声は?
お客様の疑問に多いのが「なぜ30年後に地主が躯体部分を買い取るのか」という点。実はこれには非常に大きな意味があります。30年後はマンションにとって大規模修繕の時期。ところが現在、この時期にさしかかるマンションでは、区分所有者の意見がまとまらず、大規模修繕に着手しにくい というケースが多い。このシステムでは、まさにその時期に地主に権利返還することで、スムーズな大規模修繕が行える。入居者も安心して住み続けられる、と いう訳です。

――「手間」の問題は?
コーポラティブと言えば、何十回も集まって、全部自分で決めて、面倒だと思う方もおられますが、それらの作業をできるだけ少なくし、理想の住まいをつくれるよう動くのが私どもの仕事。忙しいサラリーマンの方でも、十分参加して頂けると思います。

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