設計コンペ応募登録数400超える
こうべ・長田復興まちづくり型分住
「長田東部まちづくり協議会」とコープ住宅推進協議会が神戸市との共催で行う「こうべ・長田『復興まちづくり型分譲住宅』設計コンペ」で、23日正午現在の応募登録数(22日消印有効)417に達していることが明らかになった。これまでに応募登録しているのは建築家(設計事務所)やゼネコン、大学の研究室など。神戸市だけでなく市外からの応募登録も多い。作品の提出期限は7月10日(必着)。入賞作品の発表は7月末。最優秀作品を設計した設計者には賞状と賞金50万円を贈る。
市外からも高い関心
同地区は、区画整理事業区域と住宅区改良区域の狭間にある地区で、阪神・淡路大震災後5年を経た現在でも多くの空き地が残る。
借地や狭い敷地が多く、戦災前からの高齢化の進行などで地区の活力低下が目立ってきたため、震災直後の1995年5月に設立したまちづくり協議会は、地区の魅力向上と、若い世代を呼び込む企画を検討してきた。
そこで協議会では、良質な住宅を供給することを決定し、コーポラティブ方式による戸建住宅づくりの会「住まいづくり友の会」の設立を準備中で、若い世代などがこの地区に住みたいと思える住宅と住宅地計画の提案を今回、募集することになった。基本的には、戸建て住宅取得を考えている人を対象に、「建て売り」でなく「売り建て」方式で、供給者も購入者も安心して事業に参加できる、コストパフォーマンスの高い事業を展開する方針だ。
敷地は五番町2丁目1の4,5,6で、敷地面積は530.91平方メートル。用途地域は住宅地域で、建ぺい率60%、容積率は200%。
提案の条件は@まちづくり協議会の「まちづくり提案」と「長田東部地区防災街区整備地区計画」に合致A土地活用法や個数は自由。一戸当たりの分譲価格は3000万円を大きく超える価格の計画は困難で、事業の実現性も考慮B相続税路線価格は1平方メートル当たり12万円C各計画住宅の構造、模型、敷地面積、用地費、建設費を明示D設定規模や価格での分譲を可能にする企画、流通、施工などで特別な提案があれば提示。
設計者は趣旨説明や、全体計画(敷地面積、戸数、タイプ別住宅戸数、総延べ床面積)、個別計画(構造、階数、一戸あたりの敷地面積、建築面積、延べ床面積、各階床面積、用地費、建設費)、全体配置図(200分の1)、各階平面図(100分の1)、立面図(100分の1)、パースか模型写真などをA2パネル2枚にまとめる。
審査は、遠藤剛生氏(建築家、遠藤剛生建築設計事務所長)、高田昇氏(都市計画家、立命館大学教授)、垂水英司氏(前神戸市住宅局長)、竹原義二氏(建築家、大阪私立大学教授)、室崎益輝氏(神戸大学教授)が担当。
このコンペの説明会が18日、神戸市中央区のこうべまちづくり会館で開催され、審査員がパネルディスカッションした。垂水氏は「震災後、この地区の約6割が住宅を再建したが、3年後、ぱたっと再建がとまった。地権者は様子を見ている状態で、借家人は金がない。この地区へ新たに入居したい人も少ないという状況だ」と同地区の状況を説明。
室崎氏は「震災の教訓を感じられ、土地と人との思いを込めた土地への関わり方の提案を待っている」、遠藤氏は「社会的にも神戸の町の個性を考えたデザインを」、竹原氏は「向こう三軒両隣がうまく住まえる方法が見つかればよいを思う」などと語っていた。