スケルトン定借(つくば方式)の関西第一号 塚口コーポラティブハウスが竣工
設計・管理:キューブ 工事は施工コンペで選ばれた不動建設
間取り・内装が自由に注文でき、百年以上の耐久性のある良質なマンションを定期借地権によって安く購入できる「スケルトン定借」(つくば式)の関西第一号プロジェクト「塚口コーポラティブハウス」の竣工式が三日、兵庫県尼崎市の現地で開かれた。キューブ(天宅毅代表取締役、神戸市中央区)が事業を企画、コーディネートし、住宅を取得する十一家族で設立した建設組合が工事を発注、間取り・内装・設備・仕様も決定した。
設計・監理はキューブ、工事は施工企業選定コンペで選ばれた不動建設神戸支店が担当した。
スケルトン住宅はスケルトン(建物の骨組み)とインフィル(間取りや内装)を明確に分け、スケルトンには耐久性を、インフィルには可変性を求めて設計された建物。スケルトン定借(つくば式)は、定期借地権(建物譲渡特約付き)を活用して、スケルトン住宅を建設する方式をいう。
三日に行われた竣工式の直会(なおらい)では、建築主である塚口コーポラティブハウス建設組合の泥川晃三理事長が「多くの方がたのご努力、ご支援に感謝の気持ちで胸がいっぱい。組合員のみなさんと協力しあって、これからの新しいコミュニティーを形成していきたい」と述べた。
地主あいさつや来賓祝辞の後、濱地博一不動建設専務が「このマンションには、みなさまの思いがぎっしりつまっている。この塚口コーポラティブハウスが末長くみなさまの住まいとして、またコミュニティーの場となるように、お祈りしている」とあいさつ。
さらにキューブの天宅代表取締役が「このつくば方式が関西で初めてできたことの注目度は大きなものがある。非常に優れた仕組みで、これから広く普及していくことにつながる」と語り、歓談に移った。
塚口コーポラティブハウスの建設地は兵庫県尼崎市南塚口町3-1-20ほかで、規模はRC造六階建て延べ1370平方b。一階には整形外科医院一区画、二階から六階には共同住宅十一戸が入る。専用面積は69.5平方b―99.9平方b。工期は1999年8月から2000年6月末まで。
各住戸は住まい方に合わせ、バリエーションに富んだ設計となっている。入居者の意向に合わせて一軒あたり十回程度の打ち合せを実施。
施工した不動建設の小森克文所長は「入居される方がたはそれぞれイメージを持っておられ、それを尊重してつくりあげることに力を入れた」という。
塚口コーポラティブハウス施工企業の選定にあたっては、建築費の上限を提示し、建物の高耐久性と将来的な設備の更新性についてのノウハウを競う施工企業選定コンペを開催。入居予定者が選定し、98年12月に不動建設の提案が採用された。
提案のなかで建物の高耐久性の考え方では、RC造建築物の耐久設計・施工指針に準拠し耐用年数区分T級(計画耐用年数百年)を掲げている。高耐震割増融資基準に準拠して設計用地震力を1.1倍にした。耐震性能を向上させるため、柱にスパイラルフープまたは溶接閉鎖型を採用。
設備配管更新の考え方は、躯体との完全分離を示しユニット配管の採用とさや管ヘッダーの採用を提案。取り替えの容易性として専用部内に共用たて排水管を設け、横引配水管を短くすることにした。居住したままの更新を図るため、予備スペースも設置された。
高齢者対応の考え方としては、玄関・廊下の手摺りについて下地に幅を持たせ、高さ調整に対応している。トイレ建具も車いす対応として将来的に折扉に交換できる枠形状を採用した。
なお塚口コーポラティブハウス竣工を記念してスケルトン定借普及センター関西支部が主催した見学会は二、三日の計四回で 合わせて二百三十人が参加。三日に開かれた記念セミナーには定員五十人をはるかに超えて会場が満員となるなど、スケルトン定借に対する関心の高さをうかが わせた。