神戸新聞  1999.8.22

 

分譲マンション 区分所有の難点解消

 

分譲マンション 区分所有の難点解消

スケルトン型定期借地権住宅

震災以来、建て替えなど大規模補修で合意形成の難しさが指摘される分譲マンションの区分所有制度。その煩わしさを解消しようと考え出された「スケルトン型定期借地権住宅(スケルトン定借)」の関西第一号の地鎮祭が二十一日、尼崎市内で行われた。安く、好みの間取りの住宅で暮らすことができ、永住志向の新しい「住」のあり方として注目が集まっている。


31年後、地主へ所有権
関西初 尼崎で着工 各戸の維持管理に重点

同市南塚口町三の「塚口コーポラティブハウス」。鉄筋コンクリート六階建て、十一戸。入居者らが組合を設立し、集合住宅を造るコーポラティブ方式で建設し、入居予定は来年六月。価格は六十九―九十九平方bで約二千六百万―三千九百万円。ほかに月平均約二万円の地代を払う。
スケルトン定借は建設省建築研究所が三年前、考案した。定期借地権付き住宅の一種だが、入居者は当初の三十年間の地代だけを地主に払う。借地権の切れた後は地主が建物を買い取る。
大規模補修が必要となる時期には所有権が地主に移るため、区分所有のように合意は必要なく、補修が容易になる。その後、入居者は賃貸契約となるが、三十年間の居住が保障される。また、家賃と建物の譲渡金の相殺で、三十一年目からも約四万円の低家賃で住み続けることができる。
大規模補修を行うより転売して新しい住居を借ったほうがメリットが多かった分譲マンションと違い、当初三十年間のメンテナンスの良しあしが買い取り価格に反映されるため、入居者も建物を長持ちさせるようになり、優良な建物が残る仕組みという。
この日、入居予定者や工事関係者ら約二十五人が集まり、地鎮祭を行った。入居予定者でつくる同ハウス建設組合の泥川晃三理事長(七〇)は「分譲マンションの区分所有は老朽化するほど問題が多くなった。維持管理に重点を置いたスケルトン定借は長く住むことを前提にした合理的な方法」と話していた。

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