神戸新聞  2000.7.25

 

長田の震災空き地の再建

 

長田の震災空き地の再建 戸建コーポラティブに

現代版”長屋”で若年世帯を誘致 コミュニティーを重視 
千葉大グループコンペで最優秀

阪神・淡路大震災でできた神戸市長田区の空き地を利用し、戸建てのコーポラティブハウス(共同住宅)を分譲する案を千葉大学の建築家グループが提案している。戸建て住宅が連続性のある町並みをつくり、住人が日常的に顔を合わせるような構造。現代版の゛長屋 "とも言え、注目を集めそうだ。
長田東部では今も被災家屋の約四割が再建できず空き地のまま。高齢化も著しいため、地域のイメージアップを図り、若年世帯を呼び込もうと地域のまちづくり協議会とコープ住宅推進協議会支部が設計コンペを実施した。
長田区五番町二の空き地約五百三十平方メートルを利用した案を求めたところ、全国各地から百六十九件の応募があり、千葉大学工学部の森永永良丙助手らのチームが最優秀賞を獲得した。
森永助手らの作品は、従来の建売住宅が一戸ずつ塀などで仕切られ、閉鎖的なのに対し、土地の狭さをプラスの要素に転じ、コミュニティーを重視した。
空き地に鉄筋造り三階建て六戸の建設を提案。建物の間を仕切らず、路地や小広場を設ける。建物の敷地面積は六十六〜百四十三平方メートル。土地は個人所有となるので、入居者が相談してしょう広場や路地への土地割り当てを決めるという。
若年世帯が購入できるよう価格は土地、建物を合わせて一小当たり三千万円前後となるようにした。
この計画案は八月五日午後一時から神戸市兵庫区新開地の新開地まちづくりスクエアで開かれるフォーラム「建築家による戸建てコーポラティブ住宅のすすめ」で紹介する。
建築業者に空き地を利用した住宅の在り方をアピールするとともに、一般の人にも戸建てコーポラティブ住宅を知ってもらう。同協議会では九月に入居希望者向けの説明会を予定しており、来夏の入居を目指す。

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