国の登録文化財に5件答申 姫路市立美術館など
十八日、国の登録有形文化財に指定するよう答申された「兵庫県公館」や「姫路市立美術館」は、明治を代表するれんが造りの重厚な外観で、現在も多くの市民に親しまれている。県内から今回選ばれたのは五件で、「北野物語館」などは神戸らしい異国情緒のあるハイカラな造りが評価された。登録文化財は、近代建築物の保護を目的にした登録制度。規制は少なく、外観を守りながら、所有者が自由に活用することができる。選ばれた兵庫県公館(神戸市中央区下山手通四)は一九〇二(明治三十五)年、県本庁舎として建てられた。フランスで建築を学んだ文部技官、山口半六が設計したれんが造り三階建てで、フランス・ルネサンス様式の威厳ある外観は、県民のランドマークとして親しまれる。神戸大空襲で屋根が焼失するなどし、これまで二度の大工事を経験したが、れんがの外壁は建設当時のまま。八五年からは「兵庫県公館」と名称が変わり、公式行事会場や資料館、会議室として利用されている。北野物語館(旧M・Jシェー邸、神戸市中央区北野町三)は木造二階建ての洋館。一九〇七(明治四十)年に建設された。阪神・淡路大震災で被害を受け、現在の場所に移築された。 槌橋家住宅主屋(神戸市長田区池田寺町)は一九一三(大正二)年の建設。サンルームがあるスペイン風の洋館で、大正―昭和期のハイカラな一般住宅の一つ。近く、マンションの集会所になる予定。姫路市立美術館(姫路市本町)は、明治末期に建てられた旧陸軍第十師団の兵器庫。増築され、一九四七―八〇年までは姫路市役所として使われた。姫路城公園内にあり、れんが造りの落ち着いた外観が特徴。本徳寺中宗堂(姫路市亀山)は、江戸末期に焼失し、一八九八(明治三十一)年に再建された。前室と後室に分かれ、本格的な複合仏堂の好例とされる。今回の答申で県内の登録有形文化財は百十四件(三十七カ所)になった。