毎日新聞    1999.10.15

「老後にやさしい」新方式施主も地主も利点

普及目指し公開コンペ「老後にやさしい」新方式施主も地主も利点

スケルトン定借マンション入居者向けセミナーも

「スケルトン定借」方式のマンション普及を目指す「大阪まちづくり研究会」(事務局・住宅金融公庫大阪支店)がこのほど、兵庫県尼崎市の地主の了解のもと、建築会社など3グループによる公開コンペを行った。地主側の利点やスケルトン定借の可能性を、実際の建設計画の現場で分かってもらう狙い。11月7日には入居者向けのセミナーを開き、その他4件の物件とともに計画物件として紹介するという。[西村 浩一]

スケルトン定借は、マンションを建てたい側が地主から土地を30年契約で借り、構造的に100年持つようなマンションを建設する。建設費は30年ローンで返済し、30年後にマンションの主な構造の部分を地主に買い取ってもらう仕組み。地主は後の30年間、買い取り費用を入居者の賃貸料から差し引く形で返済し、61年目からは普通の賃貸マンションとして経営する。

入居者は、分譲に比べて格安で自分の好みに合ったマンションが手に入り、31年目から60年目までは普通の賃貸より安い価格で住むことができる。一方、地主は元手なしでマンション経営ができるほか、1階部分を駐車場や事務所として貸すことで多角的な経営もできるなどそれぞれにメリットがある。

土地代がマンション価格に直接響かないため、農村部より地価の高い都市部での建設がより有効。医療機関や食品店などの集積がある都市部で老後を過ごせるとして、高齢社会向きの住宅としても注目されている。
コンペには土地所有者や建設関係者ら120人が詰めかけ、関心の高さを示した。
コンペの対象となった土地は、阪急塚口駅から徒歩4分で、面積約640平方b。地主の希望で、1階に親族が経営する整形外科医院を設け、2階以上をマンションとするという条件で建設会社など3グループが事業計画を提案した。
この結果、鉄筋コンクリート6階建てで、2〜6階のマンション部分に11戸が入居する計画が地主の税制上の利益なども考慮して選ばれた。共同住宅は専有面積が78〜84平方bで、販売価格は2800万〜3200万円(地代約2万円)。 周辺のほぼ同じ専有面積の分譲マンションの65〜70%という。入居予定は2000年6月ごろ。
入居者向け公開セミナーは11月7日午後1時から、大阪市北区芝田1の16の1の阪急電鉄本社「エコルデホール」で開かれ、ほかにも神戸市垂水区で82〜125平方b、2900万〜4300万円(地代約2万円)、 又、兵庫県姫路市西延末で95〜99平方b、1900万〜2535万円(地代1万4000〜1万5000円)など4件の計画も紹介される。無料。参加者希望者は〒541-8546 大阪市中央区南本町4の5の20 住宅金融公庫企画広報課に住所、氏名、職業、電話番号を書き、郵便かファクス(06・281・9271)で申し込む。

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