毎日新聞    2000.6.14

スケルトン定借マンション完成 兵庫・尼崎、西日本で初

スケルトン定借マンション完成 兵庫・尼崎、西日本で初

安価に、内部造作自由に。 基本構造は寿命100年/地主が30年後買い取り

一定期間借りた土地の上に、丈夫な柱や梁などを基本構造として100年間持ちこたえられるような集合住宅をつくろうという「スケルトン定借マンション」が西日本で初めて、兵庫県尼崎市の阪急塚口駅前に完成した。諸外国に比べ、日本で住宅が異常に高いのは地価が原因。スケルトン定借は、地主から30年間土地を借りてその上に入居者が共同で集合住宅を建てようというシステムで、注目を集めている。【西村浩一】

 

11戸の募集に、100人問い合わせ

建設省建築研究所の小林秀樹さんが提案、これまで関東の都市部を中心に建設されてきた。地価が含まれないため、1戸当たりの単価が安くなるだけでなく、30年間でローンを返済した後は、逆に地主が建物を買い取り、その後30年間にわたって住民に返済する。入居者は本来は家賃を払うことになるがそこから建物の買い取り費用が引かれるため、実質的な入居費は賃貸よりもはるかに安くなるという。またこのシステムは建築物を長く持たせるため、建て替えに伴う環境への悪影響が防げるという評価もある。

尼崎市内に完成したマンションには11家族が入居、1998年3月に住宅金融公庫大阪支社がこのシステムで土地を提供する地主を募集したところ、1階に整形外科医院をつくる条件で応募があり、2階以上に11戸の住戸を作る基本計画がまとまった。98年11月の入居者募集に対し、計約100人の問合せがあった。最終的に11人にしぼって入居場所や室内の間取りや内装などをそれぞれ設計者と話し合い、完成させた。12畳のリスニングルームや天然のけい藻土の壁がある和室など各住戸は個性的な造りとなっている。内装費も含めた最終的な費用は70平方bの部屋で約2600万円、100平方bでは4200万円だったという。

入居した会社員(38)は「一般のマンションに比べて、安いうえ内部を自由に造れるので選びました。スケルトン定借というシステムにも納得できた」と話す。このシステムについては「スケルトン定借普及センター関西支部事務局」(06・6624・2321)

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