産経新聞  1998.11.6

 

スケルトン定借 関西でも普及へ   

 

スケルトン定借 関西でも普及へ

居住者が自由設計 安価・良質な集合住宅実現

自由設計と定期借地権を組み合わせたマンションのスケルトン定借が、関心を集めている。つくば方式と呼ばれるもので、地主、入居者ともに利点が大きく、新たな集合住宅の力強い供給策。好みに応じた間取りが安価で購入できることから、大都市圏で生まれた。最近は、関西でも公 開コンペが行われるなど、実績段階を迎えたようだ。快適な街づくりにも貢献することから、期待が膨らむ。

 

地主、入居者ともにメリット

スケルトン定借は、地主から三十年契約で土地を借りて、百年近い良質なマンションを建設。建設費は三十年ローンで返済、最終的にマンションの主な構造部分を地主に買い取ってもらうもの。スケルトン(建物躯体)方式と建て替えを容易にする定期借地権を組み合わせた新たな供給方式といえる。

地主側は三十年間、買い取り費用を賃貸料から差し引いて返済、六十一年目からは通常のマンション経営となる。元手がいらずに経営できるほか、建物の一部を駐車場や事務所など多様なプランが可能に。また収益の確保以外に税金対策も見逃せない。
一方、入居者にとっては、一般分譲に比べて好みに合ったマンションが入手できるうえに、三十一年目から六十年目までの間は、安い価格で住める。双方のメリットは大きい。
九六年に茨城県つくば市内で、同方式のコーポラティブ住宅が初めて実現したことから、別につくば方式ともいう。大都市部で安価で良質な集合住宅の供給策と して関心を集める。スケルトン定借は、間取りの自由設計や安心感のあるコミュニティー形成につながることから、快適な街づくりの一環としても注目度が高 い。
現在、首都圏で四物件が計画進行中だが、関西は一物件がさきごろ、公開コンペ対象となった。「南塚口町コーポラティブハウス」(兵庫・尼崎市塚口町)で、総面積約640平方b。建設会社など三グループが事業計画を提案したもの。鉄筋コンクリート六階建て。一階部分に整形外科医院を設け、二階以上が共同住宅となり、総戸数は十一戸に。
共同住宅の専有面積は78平方b〜84平方bのゆったりスペース。価格は約二千八百万円〜三千二百万円(地代約月二万円)の見込み。阪急塚口駅から徒歩約四分の好立地。恵まれた生活環境のなかで手頃だ。
入居者向けの公開セミナーは七日、大阪市北区芝田の阪急電鉄本社「エコルデホール」で開かれる。南塚口町コーポラティブハウスのほかに神戸市垂水区、芦屋市、姫路市、伊丹市内などの計画が紹介される。セミナー問合せは06-281-9261。

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