耐久力100年、分譲マンションより軽負担
新型”定借”マンション 尼崎で地鎮祭
30年後地主に売却その後も入居可能
建設省などが提唱する分譲でも賃貸でもない新しいタイプの集合住宅「スケルトン型定期借地権住宅」(スケルトン定借)を関西で初めて採用したマンション(鉄筋六階建て)が、尼崎市南塚口町三に建設されることになり、二十一日、住民らによる地鎮祭が行われた。
スケルトンは「住宅の骨組み」の意味。これまでの定期借地権付き住宅だと、入居者は五十年後に更地にして返さなければならないが、スケルトン定借方式は、入居者が土地を借りて(借地)百年間住めるような頑丈な建物を建て、大規模補修の目安となる三十年後に建物を地主に売却。その後も三十年間は賃貸入居でき、賃貸料は売却代金を毎月分割して充てる形を取るため、家賃を安く抑えられる。
入居時の負担は、分譲マンションに比べ、三、四割軽くなり、地主側は負担なしでマンションを建設できることになる。
買い取り価格に影響するため、入居者は補修や修繕をしっかりと行い、三十年たつと、建物の区分所有権がなくなるため、阪神大震災でマンション再建の障害になった住民合意の必要はないという。
「大阪まちづくり研究会」(事務局・住宅金融公庫大阪支店)が九八年八月、同方式の普及を目的としたコンペを実施。事業主体となった神戸市内のコンサルタント会社が同十月から入居者を募集し、尼崎市などから親子三人、二世代同居、老夫婦十一世帯三十人が決まった。
入居者がライフスタイルに合わせて間取りを自由設計でき、一戸当たりの専有面積は約七十〜百平方b。価格は約二千六百万〜三千九百万円と周辺の同規模分譲マンションの六―七割といい、地代月約二万円が加算される。二〇〇一年六月完成予定。
六階に入る同市武庫之荘の主婦、福原千恵子さん(63) は、夫との老後計画のために購入したマンションが震災で倒壊。入居者間の権利調整がうまくいかず、再建が進まないため知人に売却して応募した。「マンショ ンにはうんざりだったけど、この方式なら、入居者みんなが責任を持ってやっていける。もう一度老後の生活設計をやり直す気力が出てきた」と話していた。