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日経アーキテクチュア

2003年 12-22 No.-

8チームの設計者が協調した建て売り住宅

 3人の識者をコーディネーターとしながら、複数の設計者が協調し合い、街並みを考慮して設計した建て売り住宅が 11月に完成した。住宅会社のゼロ・コーポレーションが京都市北区で企画した北大路まちなか住宅コラボレーション'02というプロジェクトだ。通りを挟ん だ8区画に8棟を建てている。

 コーディネーターを務めたのは、広原盛明(京都府立大学名誉教授)、葉山勉(京都精華大学芸術学部助教授)、松岡拓公雄(滋賀県立大学環境科学部助教授)の3氏。

 設計者は天宅毅(キューブ)、石本幸良(アルパック地域計画建築研究所)、西巻優(クカニア)、林史朗 (イーアンドエー設計)、満野久・大谷孝彦(共に設計事務所ゲンプラン)、矢代恵(MEG建築設計事務所)、吉村篤一(建築環境研究所)、若林広幸(若林 広幸建築研究所)の8チーム。各チームが基本設計と確認申請業務まで行い、ゼロ・コーポレーションが実施設計と施工を手掛けた。

 ゼロ・コーポレーションが掲げた「京都の30年後の良質な街並み」というコンセプトに基づいてコーディ ネーターと設計者たちが話し合い、コーディネーターが最終的に建築のルールをまとめた。一例は、隣地境界線から壁芯までの距離は250oを標準とする、街 路に対して妻面を見せない、グレーを基調とする外装と屋根にする、既製品のカーポート屋根が設置されないように建築的な処理を行うなどだ。

全員での打ち合わせは、完成までに4回実施した。基本設計ができた段階でデザインをチェックし合う発表 会を開催し、ルールから外れる部分を認めるかどうかなどを協議した経緯がある。最初の説明会と基本設計の発表会では、購入希望者やオブザーバーの建築関係 者も議論に参加した。

天宅氏、矢代氏、満野・大谷両氏による3棟は、プランが出来た段階で売れた。そのほかは12月上旬段階 でまだ未契約だ。ゼロ・コーポレーション企画室の深田朱美主任は「京都では高額物件であることと、設計者が提案した2LDKの間取りでは部屋数が足りない ことなどが売れ行きに影響しているようだ」と話す。

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