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2006年 6-12 No.-
設計現場のプレゼンテーション術
3DCGの活用で発注者を納得させる、自在なプレゼンでクレーム減にも

「色をその場で変更、確認にしてもらう」

「設計費を受け取れる物件では、ほとんどすべて3DCGでのプレゼンテーションを実施している」。こう話すのは、主に住宅設計を手がけるキューブ(神戸 市)の天宅毅(アマヤケ タケシ)代表だ。理由は、設計意図を発注者に直感的に理解してもらえるから。「以前は時々あった『イメージと違う』というクレー ムが、3DCGでのプレゼンテーションを採用してからなくなった」(天宅氏)。

同社はコーポラティブ住宅も多く手がける。「発注者の自由な意見を反映するコーポラティブだからこそ、発注者の持っていたイメージを設計がどれだけ実現できているか、わかりにくい」と天宅氏は言う。

一般の発注者は、図面だけ見ても空間をイメージしにくい。手描きのスケッチやパースには描いた人のデフォルメが少なからず入るので、実際の空間とはかい離 が生じやすい。発注者との行き違いを避けるために、天宅氏は「リアルに映るクオリティの高い画像を確保しながら、建築設計に特化した操作性の良さ」を併せ 持つ3DCGソフトを探した。

幾つかのソフトを触って採用を決めたのが、現在使用しているPowerSketch。「素材の質感もリアルだし、ウェブ上から家具などの部品をダウンロー ドできるのも魅力だった(現在は標準添付)と天宅氏は言う」ル・コルビジェやミース・ファン・デル・ローエの家具、有名メーカーの照明器具なども用意され ており、「どれもなかなかリアリティがある」(天宅氏)。

キューブでは、Jw_cadで作成した平面図をPowerSketchに取り込み、壁や窓の位置などを図面通りに数値入力。柱型や梁型、壁や床表面のテクスチュアも張り込んでいく。

「なぜ全面的に木を採用したのか、白い建具がどういうバランスで組み合わされているか、間接照明がどのように壁を照らしているか、といったことが直感的に 理解してもらえる。色は画面上でドラッグ・アンド・ドロップで瞬時に変えられるから、プレゼンテーションの場で仕上げ変更も決められる」(天宅氏)。
コーポラティブ住宅の設計では、プロジェクターを使って複数の発注者に同時に見てもらう。「私の住戸も3DCGを作ってもらえるのか」と、尋ねられることもあるという。

「図面だけではわからない」と訴える発注者には、三次元コンピューターグラフィックス(3DCG)でのプレゼンテーションが効果的だ。空間の広がり、内装材の色や質感など、図面と言葉だけでは説明しづらい部分を、直感的に理解してもらえる。

手間を惜しまなければ、打ち合わせ回数を減らし、発注者との十分なコンセンサスをとることで、トラブル回避にもつながる。

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