2.地域共生型事業誘導の考え方
企業活動の地域への誘導という考え方を更に積極的に地域関連の各主体にも価値あるものにしようと企図した場合、それは地域共生型事業開発という考え方になる。企業の資本力と事業遂行力。企業の事業展開に際しての省力化とリスク回避に貢献する地域の潜在機能。企業と地域が有する様々な顕在化、潜在化機能を地方自治体がコーディネートすることによって生まれる新しい地域共生型事業システムは、従来の企業単体の閉鎖的で硬直化した事業構造とは異なり、柔軟で、したたかで、お互いのリスク低減策も含んだ相乗効果の高い展開を可能にすることが出来る。
しかし、既存の官民連携組織に多く見られるように、許認可問題は行政、事業活動は民間企業の従来通りの方法。各主体の組織の常識と事業活動領域を従前のままにして、事業ノウハウのない行政が意思決定権を持つ。実質的な事業遂行責任者不在のまま単に各推進主体だけを平面的に集積させても、相乗効果を発揮できる真に有機的な連携組織にはならない。民間企業単独では図りにくい、マーケットへのより効率的なアクセス方法は何か。自組織の収益性の更なる追求が社会性の追求につながる運営方法とは何か。企業のより健全な経営体質の確保と地域社会への貢献は、連携している官民それぞれの組織の潜在能力の発掘と、それらのしたたかな組み合わせ手法の開発によって可能になる。
ポスト開発の時代における地域開発には、大手企業単体の資本の論理に基づく直線的な開発スタンスではなく、地域も参加した、それぞれ立場の異なる複数の主体の柔らかなネットワークによる柔軟な取り組み体制が必要になる。そして、地域と企業のこのような柔らかな協働の枠組みは、コーディネーター役を担う行政も参加した三者協働の推進体制のもとで始めて具体の可能性を持つことが出来るようになる。
以下にそのような事業展開の考え方について更に詳しく述べてみたい。
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