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神戸北野コーポラティブハウス

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北野コーポラティブハウスプロジェクト

北野コーポラティブハウス

本事業敷地は、伝建地区の東縁に接する東西に細長い敷地で、敷地の東端には 異人館 の主屋が建ち、西は主屋に接して製菓工場及び社員寮があった。主屋は、北野地区の典型的なコロニアルスタイルの異人館だったが震災により大きな被害を受け、解体された。その後、異人館は北野町内の別敷地に移築され公開されている。

本事業を進めるに当って、従前の異人館が持つ物語性を重視し、様々な形でこの敷地の持つ記憶を生かし、留める試みを行う予定である。

具体的には、コーポラティブ方式である事を生かし、入居者の理解を得て積極的に異人館が移築される際に不要となった、従前の異人館で使用されていた部材 等の再利用を図っていきたいと考えている。また、.地元自治会に積極的に関り連携し、地域の記憶を留める方法として、様々な形で本事業を生かしていきたい と考えている。

旧サッスーン邸石畳の続く道風見鶏の館

 

事業概要

この計画地は、神戸は北野町の異人館街に位置し、異人館街の中心にある「風見鶏の館(トーマス邸)」の前の公園から東西に伸びる石畳の小路を東に歩くと、突き当たりに位置する。異人館街の中でも特徴的な土地である。
ここには、 明治40年築の洋館 と 洋菓子メーカーの社員寮が建っていた。この洋館には北野町が全国的に有名となるきっかけとなった、昭和52年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「風 見鶏」のモデルであるドイツ出身のパン職人と、現在洋菓子メーカーを経営するその子孫が阪神淡路大震災まで住んでいた。しかし、震災で被災し、洋館は解 体、部材は市に寄贈された。その後、洋館は民間企業が部材を譲り受け、別敷地で「北野物語館」として再建し、登録文化財になっているが、北野とともに歴史 を歩んできた物語を持つこの地には洋菓子メーカーの社員寮が被災した状態のまま残されていた。
三宮から徒歩13分、新神戸から徒歩5分と、主要ターミナル駅から徒歩圏に位置しながら、真後ろには六甲山が控え、数分で渓谷に入って行く事ができ、遠く は関西空港まで海を望む事ができる眺望を持つ、環境と利便性が両立した非常に良好な住宅地である。しかし、敷地の持つ諸条件から一般的な手法での事業化が 困難で、被災後何年もそのまま放置されている状況だった。そこで、ここに住みたいと願う人々が集まり、この地にコーポラティブハウスを計画する事で、地域 の持っている優れた住環境に寄与し、個々のライフスタイルにあった、独自の住居を取得することとなった。

「朝ドラ「風見鶏」ゆかりの地にコーポラハウス」:神戸新聞2004/05/30

 

敷地の特徴

敷地図従前の建物

本敷地は、北野町独特の43条2項道路に約7mしか接道しない約160坪の東西に長いひ な壇状の変形敷地で、日影規制の他、都市景観形成区域内ということもあり13mの高さ制限や1mの壁面後退など非常に規制が厳しく、建売住宅や分譲マン ション等一般的な住宅供給事業には適さない。観光通りから少しそれていることで観光客相手の商業用利用もしにくい。「風見鶏」によって一躍脚光を浴び観光 客が訪れるようになった北野町が、北野町らしい景観を形成し、良好な生活環境の維持及び育成を図る為に昭和54年に都市景観形成区域が制定され、北野町の 乱開発を抑制してきた。しかし一方で、その規制が一般的な事業を困難にし、阪神淡路大震災後、北野町の空洞化が進みかねない状況が生まれている。本事業 は、コーポラティブ方式を用いる事により、この地において可能な、また期待されるべき住宅供給の一つのあり方を提示するものである。都市景観形成区域制定 のきっかけとなったこの地から、都市景観形成区域の主旨に沿った住まいのありかたを提案することで、北野町の活性化に繋がる事を期待している。

 

事業の経緯

コーディネーターが新聞折込チラシや計画地近傍へのチラシ配布を通じて事業への参加者募 集を行い、集まった参加希望者で「北野町コーポラティブハウス建設組合」を結成し、事業を推進した。建設組合員は周辺地域住民を初め、ニュータウンの庭付 一戸建からの住替え、二世帯居住や賃貸からの住替え等様々で、世代構成も20代から70代まで各世代が全て含まれ、従事する職業や就労形態も様々で、非常 に多様性の高い人々の集まりであるが、お互いに協調して事業を完遂し、それぞれが個々のライフスタイルにあった住戸を取得した。コーポラティブハウスとい う参加型の事業を通じて得られた経験が、住みはじめてからの管理運営や地域の自治活動への積極的な参加に繋がる事を期待している。

 

建物の特徴

着色立面

コーポラティブ方式で事業化するにあたって、住宅としての基本的性能を確保した上で、土地のポテンシャルを最大限生かすよう工夫した。
土地形状的に日影規制が厳しく、これをクリアした上で建物のボリュームを最大限確保するために勾配屋根とした。この勾配屋根には年月と共に建物に風格を与 える様天然石スレートをうろこ状に葺き、この屋根が建物の外観を特徴づけている。敷地形状が変形なため、相当複雑に折り重なる屋根形状となったが、このこ とを活用して建物を分節化し、建物全体のボリューム感を低減することで、北野の地域が持つ北野らしい雰囲気に調和するよう配慮している。
塗壁調の外壁にはロートアルミの手摺を設置し、北野町独特のエキゾチックな雰囲気を演出した。コーポラティブハウスで実現する様々な住まいにより生まれる開口部のバリエーションも建物に変化を与え、全体の統一感と多様性のバランスを確保している。
4階には共用テラスを設けており、ここから六甲山や神戸市内を一望することができる。このスペースを起点として、入居者間のコミニュケーションが日常的に生まれ、健全なコミュニティーが育まれる事を期待している。

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