太陽の光を存分に取り入れた住まい。これが、大沼さん夫妻が思い描いた住まいへの思いだった。ガラス製のブロックやドアを多用した空間には光が満たされ、部屋に招かれるとまず「明るい」という印象を受ける。
"理想の住空間"と話す大沼さん夫妻だが、話を伺ううちに、決して楽に手に入れたものではないことがわかってきた。「間取りはもちろんですが、細部への 希望を建築家に伝えるのが難しかったですね。雑誌などで気に入った部屋の写真を切り集め、キッチンや照明、ドアノブなど、こんな形が欲しいとひとつずつ設計者の方に伝えました。例えばライトひとつとっても間接照明と伝えるだけでは、建築家の方と私たちのイメージがずれることもあります。時には、材質を限定するために、型番を調べることもありました」とご主人の敦さん。
工業デザイナーという職業柄、デザイン知識のあったご主人と建築家、そして奥さんの意見が随所に活かされ、「住む上でストレスを全く感じることがない」住空間となった。
「コーポラティブハウスは自由度が高いだけに、住宅に対するこだわりを持っておられる方が多いと思います。そうした中でも、大沼さんの場合は互いに意見 を交換しながら、設計の担当者方ととても良い関係を築かれた例といえるでしょうね」とは、「シェヌーア御影」のコーディネートを担当したキューブの辰巳靖さん。逆に、住宅に関する知識がなくても、参加者に負担がかからないよう、設計者がいろいろと提案してくれるので心配はないと辰巳さんは言う。
大理石の質感にこだわったというアイランドタイプのキッチンそしてご主人たっての希望だった無垢の木材を利用した床に、柔らかな日差しが差し込むダイニング。北向きながら、効果的に光と外の緑を取り入れたキッチン&ダイニングがふたりのお気に入りの場という。こだわりを貫いて完成した住まいはふたりのセンスとライフスタイルにしっかりと寄り添っている。
I邸は、2人の子供のために左右対処の部屋を設けている。ロフトベッドの下は収納庫に。幼い子供たちの成長を考え、将来は個室になるようにあらかじめ天井にレールを作ったリビングダイニングは、白を基調にしたモダンな空間。
N邸は、ロフト上にギターの趣味を持つご主人の籠もり部屋があるのが特徴。また、自然素材にこだわり、床はもちろんや壁やキッチンなどにも無垢の木材が使われているため、木の温もりが伝わるダイニングキッチンが完成した。