2.地域環境改善への貢献


■財と情報とサービスの域内循環がもたらす地域の活性

 地域産業の多くは既成市街地の中で生活と渾然一体となった構造の下に推移してきた。そのため、地域産業と地域生活の間にはある種の因果関係がある。地域産業の隆盛は地域社会の活性を導き、逆に産業不振は地域全体の地盤沈下を招くのである。また地域が地域産業を育て、逆に地域産業が地域を育てるといった側面もあった。

 このように、本来、地域と地域産業との間には、同じ域内を財と情報とサービスが循環することによって相互に影響を及ぼしあう連鎖の構造がある。したがって、その循環チャネルの中をどのように実体的に財と情報とサービスの流通を促進させるかが、双方の活性にとって重要な視点となる。

 地域生活が望むものを地域産業が理解して供給を図る。このことは下請構造にある多くの地域産業に自立性の強化をもたらすものであり、地域産業の活性を促す新しい方策につながる。そして、地域産業の活性は、事業所の増設をはじめとする地域への様々な事業投資を生むとともに、外部からの新たな企業参入ももたらす。そうすると、沈滞した地域環境の中で今まで寝たふりをしていた土地所有者や商業者は、増加する来街者や定住希望者に対応すべく新たな事業意欲に目覚めるようになる。

 こうした地域への様々な投資行為は地域環境の改善を誘い、地域全体の活性へとつながっていく。そして、活性化する地域に住む地域生活者の生活ニーズは生活環境の総体的向上とともに高度化するようになり、その新たな課題に対応するために地域産業の商品開発などの対応力も更に高度化することになる。

 地域を単位として巡るこのような財と情報とサービスの循環チャネルが構築されれば、その循環が進むにつれ、地域生活の高度化と地域環境の改善、地域産業の活性が相互に連鎖しながらスパイラル的に進行していくことになる。




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