この計画地は、神戸は北野町の異人館街に位置し、異人館街の中心にある「風見鶏の館(トーマス邸)」の前の公園から東西に伸びる石畳の小路を東に歩くと、突き当たりに位置する。異人館街の中でも特徴的な土地である。
ここには、明治40年築の洋館と洋菓子メーカーの社員寮が建っていた。この洋館には北野町が全国的に有名となるきっかけとなった、昭和52年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「風見鶏」のモデルであるドイツ出身のパン職人と、現在洋菓子メーカーを経営するその子孫が阪神淡路大震災まで住んでいた。しかし、震災で被災し、洋館は解体、部材は市に寄贈された。その後、洋館は民間企業が部材を譲り受け、別敷地で「北野物語館」として再建し、登録文化財になっているが、北野とともに歴史を歩んできた物語を持つこの地には洋菓子メーカーの社員寮が被災した状態のまま残されていた。
三宮から徒歩13分、新神戸から徒歩5分と、主要ターミナル駅から徒歩圏に位置しながら、真後ろには六甲山が控え、数分で渓谷に入って行く事ができ、遠くは関西空港まで海を望む事ができる眺望を持つ、環境と利便性が両立した非常に良好な住宅地である。しかし、敷地の持つ諸条件から一般的な手法での事業化が困難で、被災後何年もそのまま放置されている状況だった。そこで、ここに住みたいと願う人々が集まり、この地にコーポラティブハウスを計画する事で、地域の持っている優れた住環境に寄与し、個々のライフスタイルにあった、独自の住居を取得することとなった。
概要
北野通り
風見鶏の館
旧サッスーン邸
石畳の続く道
現地周辺図