神戸市灘区備後町
敷地面積 : 257.42㎡
建築面積 : 166.73㎡
延床面積 : 1009.68㎡
構造規模 : 鉄筋コンクリート造8階建
阪神・淡路大震災で商店街沿いの5軒長屋の2階建て店舗付き住宅が全壊。様々な方法を検討した結果、等価交換方式にて12軒の共同住宅を再建することになった。地権者5軒のうち1軒が事業に参加せず土地を売却、残りの地権者4軒と8軒の保留床で共同化事業を開始した。
再建する建物を良質なストックにする為には、堅牢な構造・更新性の高い設備・住まい方の変化に対応できる順応性の高い間仕切り等を実現していくことが重要であると考え、一般の分譲マンションのように、 完成した住宅を購入するのではなく、住宅の購入を考えている人々が集まり、共同で土地を取得し各自の要望を取り入れながら設計し、自らが工事の発注を行って住宅を取得するというコーポラティブ方式を採用することにした。 しかし従来型のコーポラティブ方式では、建物完成までに時間がかかりすぎる為、再建事業になじまない。そこで企画者サイド(事業コーディネーター)で事前に事業フレームと建物概略を定めた上で入居者(参加者)を募集。 (事業の根幹に関わる部分を予め決めておくことでスケジュールやコストなどを事業コーディネーターがコントロールできるようにする為。) その結果、保留床部分は周辺分譲マンションの販売価格に比べ割安感のある価格にて設定することができ、また新聞チラシで行った入居者(参加者)募集では即日で全参加者が確定した。この建物は純ラーメン構造(※柱と梁だけで力を負担する構造。そのため自由に壁を配置する事ができる)で計画した。スケルトン(躯体部分)とインフィル(内装部分)の分離を行い、スケルトン部分は良質なストックとなるべく、十分に堅牢な構造設計を行い、長期的な修繕計画を配慮した材料を選定。インフィル部分は将来の住まい方の変化に応じて容易にプランニングを変更できるよう、また設備配管など老朽化に伴い更新する必要のある部分は、容易に更新できるように設計した。
計画地周辺は将来的に、建物が密集して建つ事が予想される。階段とエレベーターを中央に配置し、ワンフロアー2戸配置としたことで、各住戸とも3面開放で、出来る限りの通風と採光を確保、将来的にも快適な住環境が担保されるよう工夫している。
また、周囲の街並みを考慮し、上層階をセットバックさせることで建物のボリューム感を低減させ、住環境としてふさわしい落ち着いた外観にした。
道路に沿った空地を設け、出来る限り植栽を配置。街並みにゆとりを持たせると共に、潤いのある外部空間が創出される事を期待している。