2."普通"の生活の支援
■まちづくりは普通の人の普通の生活の支援事業
従前の地域行政では「弱者救済」が役所の最も重要な使命とされていた。社会的弱者を救うことこそが地域行政の目的であって、地域の中で最大公約数を占める一般的生活者の生活支援は二次的、三次的な課題でしかなかった。従がって、一般生活者は自分の生活の支援を行政から受けるという発想など持つこともなく、全ては自助努力によって生活の円滑な運営を図っていこうとする常識がある。その意味では、地域の最大公約数である一般生活者と地方自治体は、同じ地域の中にありながら互いが無関係に近い存在であったということが出来よう。
しかし、社会インフラの整備も進み、社会の成熟が一定の段階まで到達した現在、地域自治体の活動領域は新たな段階を迎えている。それがまちづくりの支援活動などに代表される"普通の人"の生活支援ということであろう。
定住者の確保や産業の誘致に関しての地方自治体間の地域間競争は、パイが縮小化に向かう時代の中で激化の道を辿っている。定住者と産業の定着のために地方自治体がどのような企画を開発するかは今や重要な問題であり、その成果如何によって地域は衰退にも活性にも向かうようになってきている。地方自治体には、地域活性に向けてのトータルプランを取り仕切る地域のコーディネーターという役割が求められなければならない。そして、その展開を図るに際しての重要な視点が、普通の人の生活への貢献というところにある。
どの地域が住みよいか。住んで楽しいか。福祉や産業活動の支援機能が充実しているか。そうした普通の生活の一層の充足策や、産業活性を支える新しいシステムづくりが問われているのであり、そのために行政マンは、住んで、働いて、憩う、地域での生活枠の拡大ということを念頭に置いた、普通の人の普通の生活支援という新しい行政課題に積極的に取り組んでいかなければならない。
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