2.企てを画れる社会人になるために


■企画とは何か


 「企画」とは"画を企てる"と書く。世の中に対して画る企ては、決して思いつきのレベルであってはならない。世の中の変化の必然を悟り、社会の中での自らの会社の位置を把握し、その上で社会のある領域に対して再構築を企てることが企画なのである。それを遂行するためには、企画担当者には世の中を広い視野で眺めて自らの歩む道を自らで探り出していくことができる資質が求められる。

 「企画の仕事がしたい」と希望する若者は多い。創造力は人間だけに与えられた能力であり、その創造力を求められる企画の仕事は確かに面白い。しかし、そのためには「世の中を知る」という能力が前提条件として必要になる。世の中をどのように理解するか、そしてその中のどの領域に対して企てを画るか。企画マンにオフの時間はない。タイムカードを押したからといって企画の仕事は終わらない。夜の街に、帰宅時の電車の中に、帰宅後に見るテレビの中に、家族との語らいの中に、深夜読む本の中に、企画のための気付きのチャンスはあらゆるところに転がっている。

 また、企画開発能力とは企画部に配属される人間にだけ要求される資質ではない。それは営業職にも、技術職にも、業を企てる企業という組織に携わる全ての人間に必要な資質なのである。というのも、企業はどのような業種であれ、産業活動に関わるあらゆる領域を社内で完結させていることはありえない。メーカーであれば原材料の仕入れ先や卸先、問屋であれば製造元や小売業と、あらゆる企業は人、モノ、金の流通のどこかの段階に位置しながら、他業界・他企業との連鎖構造の下に事業活動を行っている。そして、他業界・他企業とのあらゆる流通上の接点にこの企画開発という能力は要求されるのだ。

 中間財メーカーの人間は、納入先である最終消費財メーカーが自社の中間製品をどのように活用すべきかを企画しなければならない。製造業は消費者の動向を観察して、小売業における自社商品の流通方法を問屋に提案しなければならない。企画とは、産業活動のあらゆる局面において流通を円滑に、そして流通量を拡大させるために必要不可欠な業務なのである。



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